涙の涸れる日

二人の誕生日

 お盆休みも終わってまた日常が始まった。

 佑真は仕事が忙しいらしい。

 八月三十日は紗耶の誕生日。
 そして九月九日は佑真の誕生日。

 たった十日しか違わない、二人の誕生日。

 佑真は
「その間にある土曜日に、なかなか行けなかったビストロに食事に行こう」
と言ってくれた。

「嬉しい。ありがとう」

「プレゼントはちょっと奮発したワインにしよう」

 スマホで予約を入れた。
 ディナーのコースでお願いした。




「へぇ。こんな所にビストロだなんて俺も知らなかったな」

「でしょう?」

「こんばんは」

「いらっしゃいませ」

「予約した、高梨です」

「お待ちしておりました。こちらへどうぞ」
 
 ランチの時とは雰囲気も違う。
 少しドレスアップして来て良かった。

「本日のディナーコースは、オニオンスープ、アボカドと海老のカクテルソース、ステーキのフォアグラ添えロッシーニ風、デザートはフォンダンショコラかタルトタタンからお選び頂きます」

「それでお願いします。デザートは二種類を一皿ずつで」

「承知致しました。お飲物はどういたしましょうか?」

「赤ワインのセミフルボディでお任せします」

「それでは、ブルゴーニュのルイ・ジャド ジュヴレ・シャンベルタンをお持ち致します」


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