脆姫は過去に生きる
そばにいてくれるだけでいい・・・

すぐに手を握り返してくれる鉄王。

ふっと優しく微笑み、もう片方の手で髪を撫でてくれる。

「何か食べたいものはないか?」
その言葉に首を横に振る。

「少し気分転換しようか」
いたずらに微笑んだ鉄王は私の体に毛布を巻き付けて、抱き上げた。
「気分が悪くなったらいうんだぞ?」
ずっと寝台の上で過ごしていた私の体を抱き上げて、鉄王は少し部屋から出て散歩に連れ出してくれた。

「外の空気を吸えば気分も変わるかもしれない。」
そう言ってすたすたと外に向かって歩く鉄王。
こうしている時も、近くに兵を待機させている。
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