【完結】年上御曹司と始める幸せお見合い結婚



「……鈴? 美鈴?」

「へっ!?」

 名前を急に呼ばれてドキッとしたわたしは、我に返ってから梓さんを見た。

「映画、終わったよ?」

「あ、す、すいません……!」

 色々と考えすぎて、何も頭に入ってこなかった……。

「行こっか、美鈴」

「は、はいっ」
 
 そう思って立ち上がったその時。わたしは足元に置いていたカバンに足を躓き、転びそうになってしまった。  

「わっ……!」

「美鈴!」

 運良く抱き抱えてくれた梓さんに助けられ、わたしはなんとか転ばずに済んだ。  

「大丈夫?美鈴?」

「だ、大丈夫です。すみませんっ」

 わたしったら、なんてことを……! もうさっきから訳が分からないよぉ……。わたしの感情がさっきからずっと揺れている。

「危なかっしいね、美鈴は」

「すみません……」
 
 お恥ずかしい限りだよ、本当に……。

「でもそんな危なかっしい美鈴も、可愛いけどね?」

「えっ!? そ、そうですか……?」

 可愛いと言われる度に嬉しい気持ちになるけど、その度に緊張してドキドキする。
< 42 / 112 >

この作品をシェア

pagetop