私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。
「この裁判、勝敗はすでに決まってる。あくまでも、舞空の名誉回復と韋駄天様に成りすました架威への糾弾を、公衆の面前で晒しめるためにやるんだ。この世界のこともよく知らずに、舞空の罪を捏造し、私刑を振り翳したことで、多くの民の前で糾弾された架威はどうするか?まさか架威も、韋駄天様に成りすましたまま、みすみすお縄につくわけがない」
「確かに。月輪界から追われている身なのに、まさかこんなクソな世界で捕まっている場合じゃないよな……」
「こら。三度クソな世界とはなんだ。……そして、痺れをきらして本性を現した時、そこがおまえたちの出番。まあ、もっとも……」
そう言いかけて、竜樹様はまた私の方をチラリと見る。
「……もっとも、舞空の協力が必要となる作戦なんだけど」
私の名前が出たその一言で、他の三人も一斉に私に視線を移す。
この作戦。私自身が、自分に私刑を与えられたことを不服として異議申し立てをするところから、始まる。
天導師である竜樹様を後ろ盾、弁護人として、韋駄天様…‥正確には、月輪界の特級犯罪人・架威を相手に糾弾するのだ。
(……)
……私は、狂気に満ちたあの男を前に、戦うことが出来るのか。
戦士でも神術士でも何でもない、ただの一介の侍女が、特級犯罪人を前に戦い抜くことが出来るのだろうか。