私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。


「このズタボロな御方、韋駄天城の地下牢にある、物資入れる木箱の中に放り込まれておりやした!……発見時は息も絶え絶え瀕死の状態ですたが、『月輪界特製ポーション』飲ませたんで、命に別状はありませんっっ!敬礼!」



翼の証言で、場内は最高潮のどよめきのまま、次々と声が飛び交うようにもなった。

なぜ韋駄天様が二人いるのか、なぜ魔族が韋駄天様を連れてきたのか、じゃああそこにいる韋駄天様は何なんだ、どっちが本当の韋駄天様なのか、などなど。

同じ姿をした者が、この場に二人いる。

ここ大広間は疑念の渦だ。

私は、ぽーしょんが何か気になるけど。




そんな騒がしい中、竜樹様は翼と士黄様に向かって小声で「ご苦労」と呟いた。




……実は、この裁判とほぼ同時進行で。

翼と士黄様は、身内の調査官を連れて、韋駄天城に乗り込んでいた。

私の後ろ盾である竜樹様のとある後ろ盾の許可のもと、主やその側近、跡取り息子が、裁判で城を不在にするのを狙って前触れ無しで押し掛けたのだ。

とある後ろ盾?……いや、今となってはそれは誰だかわかる。この天界で最も高貴で尊い御方のことだろう。

ちなみにこの行為は『ガサ入れ』というらしい。
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