私らと、ざまぁするぞ!〜冤罪で追放された令嬢に手を差し伸べたのは異世界の戦士たちでした。

だからといって、神術士になりたいという夢を持ったことに、後悔はしない。

後悔しているのは、現時点での自分の無力さだったりするから。



「……舞空!今、そっちに……」



遠くで竜樹様の声が聞こえる。

私が人型魔族に襲われていることに気付いたのだろう。

けど、竜樹様の現在いる場所からは、ここは距離があるし、その間に何匹もの魔獣がうろついている。

直ぐにはここに辿り着けない。



誰かに守ってもらわないと、私は助からないんだ。



(力の無い……)



……私には、治癒の力しか持ってない。

翼や天王様のように、剣技が出来るわけでもなく、聖威や竜樹様のように優れた攻撃力を持つ術式もない。

銀太さんのように、特殊な能力を持っているわけではない。

……特殊な能力?

この治癒の力も特殊ではあるのだけど。

何より、治癒の術式だけでは魔族を倒すことなど出来ない。

魔族に襲われているこんな場面では、無力に等しい。

私の力では、何かを救えても自分の身を守ることは出来ないのだ。



何か……何か、私にも。

目の前の敵に抗える方法が、あればよかったのに。

何か、無いの?!

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