愛して欲しいなんて言わない!

予想的中

月曜日の西九条の声はかすれていた

無理しないように
歌っていたのに

朝起きてみれば
西九条は風邪っぴきのような声になっていた

私は勢いよく教室の扉を開けた

今日は一番のりのようだ
教室は静かで
私は何かの勝負に勝ったような
誇らしい気持ちになった

…でも
私は一番ではなかった

私の席の場所で
影が動く

素早く
私の席からは
離れた影は
私の顔を見たまま
首を横に振った

「おはよう
私の机で何をしているの?」

私は影にむかって
口を開いた

教室にいたのは
小林だ

小林が私の机から
離れた

手には
なくなった筆箱を持っていた

「どうして私の筆箱を
持っているの?」

私は教室の入口に立ったまま
質問をする

「僕は何も…」

「ならどうして持っているの?」

「下駄箱にあったから」

「妹、いないんだってね」

「え?」

小林の顔が真っ赤になった

「ごめん」

小さな声で小林が謝ってきた

「何に対して?」

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