愛して欲しいなんて言わない!
「おかえりなさいませ」

背後から聞こえてきた女性の声に
私はびっくりして
振りかえった

「初めまして!
家政婦の小野鈴子です」

40代の優しい奥様風な女性が
頭をさげた

「か…家政婦?」

「はい
お二人とも日中は家には
いらっしゃらないと聞きましたので」

初めて見た
家政婦なんてドラマでしか
見たことなかったよ

確かにうちはそれなりに
お金はあるけどさ

家のことは母親がやってた

「理菜さまのお部屋は
こちらでございます」

私は玲子さんの案内されるままに
部屋に入る

綺麗に片づけられている部屋を
想像していたら…

段ボールが山積みになっていて
倉庫状態の部屋が
眼前に現れた

「え?」

「あんたの実家にあった荷物全てだ」

私の後ろから
西九条の声が聞こえてきた

私の背後に立っている

「片付けは自分でやれ」

「は?」

「自分の荷物は自分で片付けろって
言ってんだ
何度言ったら、わかる

これだから馬鹿は嫌いなんだよ」

西九条は私から離れると
ソファに座った

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