愛して欲しいなんて言わない!
ゆっくりと西九条に視線を戻す

西九条はまっすぐに私を見ていた

「どこに帰るんだ?」

「え?」

「帰る場所に送っていってやる」

西九条はコインパーキングに向かった
私も後ろを歩いた

帰る場所

私にはあるの?
お父さんとお母さんがいる家に帰りたいと
思ったけど

追い出されるに決まっている

不仲の両親で
見ていると苛々して

ふざけるなって思うけど

あそこが
私の家であり、帰る場所なんだ

あそこしか
私の居場所はない

西九条の車に乗る
今日は助手席だった

シートは冷たくて、
冷えた体をさらに
凍えさせた
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