愛して欲しいなんて言わない!
「友人のところに行くか?」

西九条が聞いてきた

「え?」

「喫茶店経営している友人がいるだろ」

「いいよ、別に
西九条のマンションで」

「本当にいいのか?」

「私に帰る家なんかないんだ」

「お前の家にすればいいだろ」

「嫌だよ
あそこは西九条の家だ」

「お前の家でもある

聞きたくない話だろうが
来週には
俺とお前は入籍する

俺らの意思は関係なく…な

俺のオヤジとあんたの父親が
書類を作って

勝手に市役所に提出する」

「は?」

何、言ってるの?
意味がわからないんですけど

「戸籍上は来週から
俺らは夫婦だ」

「最低」

「すぐに離婚届を出すか?

それとも婚姻届を出しに行く両親たちを
襲うか?

何をしても
無駄だと思うが」

「何で
西九条は抵抗しないんだ?」

「抵抗しても意味がないから
それに
誰が妻だろうと、俺の人生に変化はないから」

「変化がない?
好きな人と結婚するのが
結婚だろ?

あんたには好きな人がいないのかよ」

「…いない」

いない?

本当に?

そんなのウソだ
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