君に捧げる一途な愛
広い敷地内に建てられている洋風の豪邸は白を基調としたお洒落な外観で、庭は綺麗に手入れされている。
ここが政宗さんの実家なんだ。
私はドキドキしながら政宗さんの後に続いた。

「ただいま」

玄関のドアを開けた政宗さんが振り返ると、私の背中を押してくる。

ちょ、ちょっと待って！と内心焦る。
政宗さんの前に私が出る形になってしまった。

「いらっしゃい」

奥から聞こえてきた女性の声に緊張はピークを迎えていた。
パタパタとスリッパの音を響かせて玄関まで出迎えてくれた女性を見て「えっ」と声が出た。

「志乃ちゃん？」

「ゆ、百合さん？」

お互いに信じられないというように見つめあう。

私の目の前にいる女性は、料理教室でアシスタントをしていた百合さんだ。
政宗さんのお母さんて百合さんだったの？
驚きすぎて頭が追い付かない。

「政宗の彼女って志乃ちゃんなの？」

「そうだけど。なんで母さんが志乃のことを知っているんだ？」

政宗さんが驚いたように私と百合さんを交互に見る。

「知ってるもなにも、志乃ちゃんは私が手伝いをしている料理教室に通っていたのよ」

「マジか。そんな偶然があるんだな……」

「私の願望を叶えてくれるなんて政宗にしては上出来よ！志乃ちゃん、よく来てくれたわね。さあ、上がって」

百合さんは嬉しそうに手招きし、私は「おじゃまします」と言って靴を脱いだ。

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