猫かぶりなカップル
「はよ」



そう言って笑う奏を見ると、心臓がきゅっと音がする。



奏が自然とあたしの隣で歩き始めた。



「お、おはよ…」



な、なんか今までみたいに出来ない…。



あたし変じゃないかな!?



奏といつも歩いてるときこんな距離近かったっけ…。



今までのこと全部分からなくなったよ…。



「もうすぐ試験だな~」

「あっ…、そうだね」

「また試験勉強手抜くのか?」

「えっ、あ、うん…」

「…くるみ、なんか今日変じゃね?」

「そんっ…なことないけど!?」



思わずキレ気味に答えてしまった…。



あたしってほんと…。



それから、ほとんど何を会話したかも覚えてないまま学校に着いた。



「じゃあな~」

「じゃ、じゃあね」



教室の席に座ってぐったりとする。



朝から疲れたけど、一緒に登校できて嬉しかったのも事実だ…。



「おはよー、くるみちゃん!」

「おはよう」

「王子と朝から一緒に学校来てたの見てたよー! ラブラブだね~」

「そ、そんなことないよ? たまたま会っただけ…」

「ならもっと嬉しいね!」



一気に顔が赤くなった。



これじゃまじでピュアキャラじゃん!



やだやだ!



そのとき、教室に入ってきたクラスの女の子たちの会話が聞こえた。



「ねー! さっき王子の教室行ったんだけど、王子の筆箱にハリセンボンのキーホルダーついててさ~」

「何それ超意外! 王子そういうの好きなのかな? 可愛い~!」



えっ…。



それってこの前買った…?



やば、すごい嬉しいかも…。



日常で使ってくれてるんだ…。
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