猫かぶりなカップル
「妬いてんの?」



奏の言葉に、とっさに奏の腕を殴る。



やばっ、廊下で殴っちゃった…。



多分いないと思うけど、一応見てる人がいないかキョロキョロ。



ふう…いないっぽい。



あたしはなかったことにするため、コロッと笑顔を作る。



「妬いてないけど?」

「くくっ…。妬いてんじゃん」

「妬いてない!」



奏は嬉しそうに笑ってる。



「ばーかばーか…」

「はいはい」

「何そのなだめるみたいな返事…」

「俺の彼女は嫉妬深かったんだな~」



『嫉妬じゃない!』ともう一回言おうと思ったけど、奏が本当に嬉しそうだから何も言えなくなった。



その笑顔可愛すぎるもん…。



「で、用事ってなんだよ?」

「あ、そうそう。篠塚くんと美術で似顔絵描くペアになっちゃって、今週中に終わらせないといけないんだけど、教室で2人でやるの気まずいから奏の家でやっていい?」



あたしが言ったら奏が渋い顔をした。



やっぱ篠塚くんを家に呼ぶのは嫌かな?



「まず、なんで篠塚とペア?」



あれ?



「くじ引きで決まっただけだよ」

「あっそ」

「…奏も嫉妬?」

「うるせえな…」



可愛い…。



あたしのこと、さっきからかったばっかりなのに…。



自分が嫉妬してんじゃん…。
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