猫かぶりなカップル
そのあとも、くっついてくる奏にドキマギしながら篠塚くんとバトンタッチであたしが篠塚くんのことを描く。



そして、ようやく課題終了!



ふー、疲れた…。



「おつかれ~」



篠塚くんがそう言って奏の部屋でくつろぎ始めた。



そんな篠塚くんを、奏が足で蹴る。



「終わったんだったらお前は帰れ」

「なんだよ~、ちょっとくらい休ませろよ、ケチ」

「あ!?」



奏、ヤクザじゃん…。



でも、あたしも奏と2人でいたいので篠塚くんは邪魔!



でも出てく様子はない…。



なんて図々しいやつなんだ…。



「トイレ行く」と言って部屋を出て行った篠塚くん。



「あいつ邪魔だから誰か紹介するか…」



篠塚くんが出て行ってから奏が言った。



あたしとしても篠塚くんに好かれてるのは気まずいものがあるので賛成です!



「誰紹介すんの? 奏、そんな紹介するような女いるの?」

「あ~…柚子でいいか」

「そんな軽い感じ!?」

「俺らの本性知った上でこんな懐いてんなら柚子の本性知っても引かないだろ」



そういう問題なんだろうか…。



ていうかそもそも柚子ちゃんって彼氏3人とかいたよね?



色々と心配があるけど、そんなあたしに構わず、奏が早速柚子ちゃんに連絡。



1時間後くらいに仕事が終わった柚子ちゃんが帰ってきた音がした。



柚子ちゃんの足音がこっちに向かっているのが分かる。



「あれ? 誰か帰ってきた?」



篠塚くんが言った。



「神城の家族って…あれっ、もしかして」



そこまで言ったとき、奏の部屋のドアが開いた。



篠塚くんは、そのドアを開けた主を見て驚きの表情。



「柚子ちゃん!?」

「はーい♡」



語尾にハートマークをつけて、柚子ちゃんがニコニコ笑顔で篠塚くんを見た。



「えっ、やば、本物…」



篠塚くんが本物の柚子ちゃんの前で硬直。
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