猫かぶりなカップル
ちょっと柚子ちゃん!



恥ずかしいからそれ本人に言うのなし!



奏があたしを「へえ~」とニヤニヤと見た。



もうこの兄妹は!!



あたしのことからかって楽しむんだから!!



無視して料理を再開するあたしに、奏が後ろからあたしを抱きしめた。



「ひゃっ!?」

「くくっ…。なんつー声出してんの」

「妹の前でよく恥ずかしくないね!?」



あたしがそう言ったら、奏があたしを抱きしめたままあたしの肩に顔を置いて柚子ちゃんに顔を向けた。



「お前、恥ずかしい?」

「恥ずかしいっていうか、よくやるねとは思う~」



柚子ちゃんがそう言ったら奏が舌打ちした。



そしてあたしから離れて、料理するあたしをじっと眺めはじめる。



恥ずかしくてうつむくあたし…。



奏は楽しそうだ。



奏と柚子ちゃんにいじめられながらなんとかハンバーグが完成。



そしてみんなで食べて洗い物して…。



それぞれお風呂に入ってから柚子ちゃんの部屋に布団を敷いた。



女子会夜の部!



「くるちゃんのパジャマ姿、お兄より先に見ちゃった~」

「あたしの初めては柚子ちゃんにあげるよ~」

「きゃー!」



なんちゃって…。



楽しい…。



「お兄が今くるちゃんのその姿見たら絶対欲情しちゃうから見せちゃダメだよ」

「はいはい…」

「寝てる間にお兄が夜這いしてくるかも」

「…」

「あたしの隣で何かするのやめてね」



柚子ちゃん…。



あなた本当にそういう話題好きだよね…。



しないから!!



そのとき、柚子ちゃんのスマホに着信。



柚子ちゃんが、「マネージャーさんだ…」と、不思議そうな顔をした。



それから、あたしに「ちょっとごめんね」と言って電話を取る。
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