独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
私はそれから、真崎家へ一億円を要求した件の真実や、先日母がやって来て今度は私にお金の無心をし、そのために私が高時給のアルバイトに手を出してしまったこともすべて打ち明けた。

透哉さんはしばらく言葉を失っていた。

「まさか琴子のお母上が……」

「黙っていて申し訳ありませんでした」

「いや、突き止められなかった俺の責任だ」

「父がいた頃は、母はあんなふうじゃなかったんです。でもなにかが崩れて、母は変わってしまったんです……」

「それでも琴子の名前を語り無実の罪を着せるなど、断じて許容できないよ。琴子に直接金銭の要求をするなどもってのほかだ」

この期に及んで母を擁護する私を、透哉さんは静かに諭した。

「……はい」

私が母に甘いせいでここまでこじれてしまったのだ。

そのとき、寝室のフローリングに投げ出された私のバッグの中でスマートフォンが鳴った。

実のところ、私たちが帰宅してから何度も着信が入っている。きっと森窪さんだろう。

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