独占欲強めな御曹司は政略妻のすべてを奪いたい
最上階で降り、天井から優雅なクラシックが流れる内廊下を進む。

その先にあるどっしりとしたドアのインターホンを押すと、透哉さんがすぐに開けてくれた。

「迎えに行けなくてすまなかった。待っていたよ。琴子の荷物もついさっき届いたところだ」

初めて「琴子」と呼び捨てにされ、私はとっさに顔を赤くした。私たちは夫婦になるのだから、もちろんなにもおかしくはないけれど、家族以外の男性に呼び捨てにされた経験がなく露骨に動揺してしまう。

広々としたリビングは優に五十帖はありそうだった。大きな窓からつながるテラスがさらに開放感を生み出し、明るい空間を演出している。さらに屋上にはアウトドアリビングもあり、なんとプールまで完備されているという。

リビングからまっすぐに続く廊下には、絵画がいくつも飾られていて、まるでギャラリーのようだった。こんな素敵な空間で私は今日から暮らすのだ。

部屋は七つあるらしい。

「寝室は同じだが、琴子の部屋もある」

私の部屋は透哉さんの書斎の横にしてくれたようだ。

そこにはすでに私の荷物が運び込まれていた。

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