隣の圏外さん

「やっぱり、クラスメイトに会ったのが気まずかったのかなあ」

　よくよく思い返すと、あの後から梓の目に熱っぽさを感じなくなった気がする。


「何か言われた？」

　凛ちゃんが首をかしげた。


「ううん。あ、でもそう言えばあの子も私と常盤君の関係を誤解していそうだったな」

「それでしょ、それ。寺元君、結衣子は倫太郎君のことが好きだとでも思ってるんじゃないの」

「えぇ？」

　皆、どうしてそういう風に思うのか不思議でならない。


　同じ部活で同学年が２人だけだから、仲良いはずだって思い込まれているのかな。

　仲は悪くないと思うけれども、そういう雰囲気になったことは一切ないのに。


「まあ、これから結衣子も押してみたらいいんじゃない？」

「そうだよね、うん」


　待っているだけでは、何も動かないかもしれない。

　それどころか、わずかでも私に向きかけていた梓の気持ちが、あの美人の先輩の方へ向いてしまう可能性だってある。


　とは言え、具体的に何をしたらいいんだろう。