Eye Love
「こーいうのは、お互いがお互いの指に付け合うんだよ?」

美咲は俺に、Seaと刻まれた指輪を持たせて来た。俺は無言で頷いて、美咲にSkyと刻んである指輪を渡した。

「じゃあ、美咲。ちょっと早いけど、三ヶ月記念おめでとう」

「うん、まだまだこれからだよ、私達?」

そして、交換しあった後に、軽くキスをした。

「あのな、美咲。このペアリングな。ちゃんと意味があって…」

「そんなのいいよ。裕也が私を好きでいてくれれば…つっ…!」

その時…美咲が右目を押さえて地面に座り込んだ。

「美咲…!?」

「…平気、平気!たまにこうなるんだよ!ホントやんなるよ、この病気!」

「……ならいいけど」

俺は、美咲に手を差し出す。

「ありがとう…」

しかし、美咲が俺の手を掴むことはなかった。手を上下させてるだけだ。

「美咲…お前まさか…?見えてないのか?」

「…ごめん。この痛みが来た後しばらくは…真っ暗になっちゃうんだ」

すると、美咲は俺の服の裾をギュッと掴む。

「裕也、そこにいるよね?私からいなくならないよね?」

小刻みに震えている美咲を俺は軽く抱き寄せる。
そして、唇を重ねる。

「…ホントだ。裕也だ」

「…美咲」

今、この公園は暗い。
しかし、目を懲らせば見えないことはない。

しかし、さっきの美咲の目は、完全に光を失ってしまっていた。

本当の暗闇の怖さを、俺は知らない。

俺に何か出来ることはないのかよ……?

俺はこの時、夜空に瞬いている星達に嫉妬した。
星なら、ずっと暗闇を照らしてやれるのに……。
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