結ばれない運命〜愛する人は空の彼方へ〜
第四章 心ときめいて
店に入ると営業している様子は伺えず、彼がひとりで出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ、どうぞ」

「ありがとうございます」

彼はじっと私を見つめていた、恥ずかしくなり、視線を反らした。

「ここに座って」

「あのう、今日はお店はお休みですか」

私は案内された席に座りながら尋ねた。

「そうだよ、凛と二人の時間を過ごしたかったから」

彼は鏡越しに熱い視線を私に向けた。
固まったまま身動き出来ず、私はじっと彼を見つめた。

「そんなに見つめられると照れるな」

彼はそう言いながら私の髪を撫でた。
ぞくっと身体が反応し、息していない事に気づき苦しくなった。
深呼吸して彼から視線を反らした。

彼は真剣な眼差しでカットを始めた。
すごい、ハサミの動きが流れるように髪をカットして行く。

「どうかな、これ位毛先に動きがあった方が凛には似合うと思うよ」

鏡に映った私はまるで別人だった。

「流すからシャンプー台に移ってくれる?」

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