あなたに巡り会えてよかった…
どれだけこうしていたんだろう…

やっと落ち着いてきたが恥ずかしくて顔が上げられない。

どうしたらいいんだろう…


彼が
「落ち着いてきた?」
と優しく声をかけてくれた。

私は下を向きながら頷いた。

「さぁ。涙がたくさん出たから脱水だ。何か水分を取ろう!」

ウェイターを呼びドリンクをオーダーしてくれた。

「ごめんなさい。Tシャツも汚してしまいました。」

「大丈夫だよ。俺がスッキリ泣いたらいい、と言ったんだ。そんなこと気にするわけないだろ。」

「ごめんなさい。」

「さぁ、もう謝るのはおしまい。ジュースを飲もう。きっと甘くて心に染み渡るよ。」

彼から渡されたフレッシュジュースは本当に身体に染み渡るようでゴクゴクと飲んでしまった。甘くて優しい味がした。

「涙が出たらあとは元気を出していくんだよ!ご両親のことは悲しいけど…君の姿を見た両親はもっと悲しむからゆっくりでも一歩ずつ進んでいくんだよ。大丈夫。君は傷ついていてもここまで来れたんだから。もう海の中にいないで出てくるんだよ。」

「ありがとうございます。少しつっかえてたものが取れたかもしれないです。少しずつ前を向いていきたいな、と少しだけ思いました。」

「少しでいいじゃない。少しで充分。頑張りすぎないのが1番だよ。」

「本当にありがとうございました。会ったばかりの人に恥ずかしいところばかりお見せしてしまって…。なんてお礼を言ったらいいかわかりません。ありがとうございました。」

「お礼なんていいんだよ。君が少し前に進む手伝いができたならよかった。またどこかで会おう。」

彼は名乗ることもなくビーチを去って行った。
彼の背中には夕日があたりオレンジ色に輝いているようだった。
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