とある先輩の、歪んだ狂愛。
「すごい人…」
電車に乗って向かって、屋台が見えてくる大通りの端っこ。
鳥の銅像がある裏手がわたしと先輩の集合場所。
とりあえずその待ち合わせ場所を目指そうと、人目の通らない裏道から向かっていたとき。
「お前、南 涼夏だろ?」
「……誰ですか」
「俺は高槻 周の知り合い。とくに怪しいヤツじゃねぇから」
じゃあなんの用ですか。
これまた顔の整った人が来て、わたしの名前を知ってるみたいで。
でもどうしてわたしに声をかけてくるんだろう?なんて思ったけど。
どうにもこの機会をずっと待っていたかのような空気感があったから。
「お前に忠告がある」
「…忠告…?」
「───周には近づかないほうがいい」
これはまた随分と急な忠告だ。
近づかないほうがいいって言いますけど、近づいてきたのはわたしじゃない。
けど、今はそんなことどっちでもいいくらいにわたしも当たり前のように先輩と話してる。
「できれば関わるのも辞めろ。それは周のためでもあるが、お前のためでもあるんだよ」