とある先輩の、歪んだ狂愛。




だから今、こうしてやることが出来て逆に良かった。

ぐるぐる考えなくて済む。



「……あった」



そこは、プール。

ちょうど真ん中にぷかぷか浮いている2つの靴を発見。


普通なら今の時期はもう水が引けて簡単に回収できるはずだが、そこは旧プールだった。

今年から新しいプールができて、ここは使われていないほう。



「やるしかない、か」



靴なんか貸してくれる友達だっていないわたしは。

ザブザブと、濁った緑色のヌメヌメした水の中へ遠慮なく入っていく。


葉っぱや埃が溶けてヘドロのようになった水。

臭い、汚い、気持ち悪い。

またそんな言葉を全校生徒から浴びせられるに違いない。



「やだ、くっさ」


「近寄らないで、匂い移るでしょ」


「私あんなのにバトン渡したくないんだけど!」



テントに向かったわたしへ、案の定といったところ。

この姿でリレーを走るB組代表アンカーの悲惨な姿に、チームメイトは舌打ちやら諦めのため息やら。



「最悪。アマネ先輩が見てるって…のに!!」


「ぅ…っ…!」



< 91 / 242 >

この作品をシェア

pagetop