美しき花は罪
驚きと呆れがラファエルの中で混ざり合う。そんなラファエルに抱き付き、フランソワーズは「どうしても会いたくなっちゃって……」と甘えた声で言った。

その色気のあふれる声を聞いた刹那、ラファエルの中に熱いものが込み上げてくる。フランソワーズを全身が求め、ラファエルは彼女の肩を抱いてリビングに連れて行った。

「手ぶらで来たわけじゃないわ。ちゃんとお土産があるの」

ソファに座ったフランソワーズは、持っていた紙袋の中からワインを取り出した。庶民には到底買えない値段のヴィンテージものだ。

「いいワインだね。何かつまみがないか探してくるよ」

ラファエルは立ち上がり、キッチンへと向かう。戸棚を開けると前にデートした女性からもらったマンディアンが入っていたため、それを手に取ってフランソワーズの元に向かう。

「お待たせ」

フランソワーズはすでにワインをグラスに入れて待っていてくれていた。ラファエルはマンディアンをテーブルの上に置き、ワイングラスを手に取って乾杯をする。
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