私に恋を教えてください
そういうルールです
身体に触れられるとそれは自分の身体でありながら、まるで自分の身体ではないようだった。

感じたことのない感覚に、柚葉は胸がどきどきする。
どこに触れられても身体の奥が感じたことのないところが、もどかしいような疼くような、そんな感じがする。

くすぐったいより、もう少し不安な感じ。
けれど須藤が手を握っていてくれるから、本当に不安なわけではない。

「……ん……」
「柚葉……」

柚葉がそっと目を開けると、柚葉の身体の上に須藤がいる。
少しだけ首を傾げて、口角を上げ柚葉を優しく見ていた。

「ごめんなさい……」
「ん? どうして?」

「だって……もっと慣れていたら……」
「いや? そのうち慣れるよ。柚葉はとても優秀だから」

「え? それって、お仕事ですか?」
「そうだね。とても優秀な子だ。だからコッチもすぐ慣れるんじゃないかな」

「……う、課長って呼びます」
「それはそれでイケナイことをしているみたいでいいね。けど、今日はそれではなくて、ほら……柚葉」
「はい……」
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