私に恋を教えてください
おまけのお話:ボクに恋をおしえてください⁉︎
『来週、そっちに行くわ』
姉の莉子の来訪はいつも突然だ。

『結納してあの指輪付けてくれている柚葉ちゃんも見たいし、うちの家族にも会わせなきゃね!』
「そうか……確かに」

『何よ、それは今まで頭になかったわけ?』
確かに莉子の家族には、会ってもらっておいた方がいいだろう。

「長くいるの?」
『そうね、バカンスも兼ねて行こうかな』
「分かった。予定しておく」
『じゃあ、柚葉ちゃんによろしくね』
そう言って、電話は切れた。

柚葉がパンを焼いてくれている一瞬の間だった。

「柚葉」
「はい。あ、バターじゃない方がよかったですか?」

「いや、そうじゃなくて、スクランブルエッグを作るよ」
「わーいっ、駆琉さんのスクランブルエッグ大好きです!」

卵をボールに割り入れて、かしゃかしゃとかき混ぜながら柚葉に伝える。

「来週、莉子が来るらしい」
「え? 莉子さんが⁉︎」
フライパンにバターを敷きつつ、ふと横を見ると、視界に入った柚葉はひどく嬉しそうに見えた。
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