大人になってもまた君と

って、ダメダメ!
せっかく2人に会えたんだから楽しい気分のまま過ごさなきゃ、もったいない!

そう自分に言い聞かせ、友達に向き直った。

「友達はいつ頃来るの?」
「あっ、ちょうど今連絡が来たんだけど。10分くらい遅れるから先に飲んでて、だって!」
「お言葉に甘えて先に飲みましょ。私の予想だとはるはお酒に弱いから……ふっ、楽しみね」

にやっと腹黒い笑みを浮かべる彼女はどこぞの誰かを思い出させる。
この飲み会中は彼女の行動には警戒しておくのが良さそうだ……。

そういえば、彼氏とはまだお酒を飲んだことがないから、今度一緒に飲んでみるのもいいかもしれない。
あの意地悪でSっ気のある彼がお酒に酔ってへろへろになるのを見てみたい気もする。
いつものお返しをするのも楽しそう。

と、その場にいない彼のことを考えてしまうのは彼がよほど私の日常に入り込んでしまっている証拠だ。

「はる?なに一人でにやけてんの!」
「気持ち悪いわね。きっと彼氏のこと考えてたのよ。いやらしいわ〜」
「ち、ちが!……うこともないけど」

口々に突っ込まれて反射的に否定しようとしたものの、実際には考えていたのだから大人しく避難を受けることにした。

私はにやけていたらしいけど、他の2人もそんな私を見てにやにやと女子大学生に似つかわしくない笑いを浮かべている。
可愛い顔が台無しだ。

「さぁて、今日は飲むぞー!」

いじられた悔しさでじとっとした目を向けていると、それを振り払うように気合いのこもった一言が発せられた。

こうして、楽しい楽しい飲み会が始まったのだった。

……もっとも、それは最初だけのことだったけども。



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