今は秘書の時間ではありません

「ありがとう。わかったよ。今後こう言うことがないようにするからよろしくな。」

あれ？？
どういうこと？
よろしくな、って…

「私は関係ないですよ。辞めるんですから。」

「もう一度俺にチャンスをくれるってことだろ？」

「いえ、私は辞めます。」

「今後に活かしていくように俺にチャンスをくれたんだろ。」

「いえ、違います。次の秘書なり社員に活かしてください。」

「ならダメだな。友永さんに許してもらえないなら意味ないじゃないか。君に許してもらえないほどに君を困らせた。反省するだけじゃ足りないだろう。パワハラだと訴えられてもおかしくない。」

「私の事はいいです。次に活かしてください。」

「そう言うならチャンスをくれ。せめて君が辞めるまでの1ヶ月。秘書として俺を見てくれ。それでダメなら諦めるよ。」

「そうだな。本当の一樹を見てやってくれないか。もちろん今までのも一樹だが、これから社を変えていこうとする一樹も見てやってくれ。頼む。」

室長や橋本さんからも頭を下げられ困り果てた。
私の愛想は尽きているのに。

でもどちらにせよ1ヶ月は働かなければならない。

私も腹を括り、
「わかりました。退職までの1ヶ月、秘書業務をさせて頂きます。」
と答えた。