今は秘書の時間ではありません
社長の秘書になり3ヶ月。
今まで以上に社長のことがわかってきた。
先回りできるようになってきて逃げられなくなってきた。

その代わり頻繁に鳴り始めた社長への電話。
『ジュエルのまりえだけど社長に繋いで』
『サリーヌのあやです。一樹さんお願いしまーす。』
『キュエルのゆきみだけど社長をお願い』

耐えず鳴り続けるお姉様方からの営業の電話。

それ以外にもお店ではなさそうなお姉様方からのお誘い電話。

「ただいま社長は取り込んでおりましてお繋ぎすることができかねます。」

そういうと怒り出す方もいる。

「いるのはわかってるのよ。いいから出しなさいよ!」

「大変申し訳ございません。ただいまお繋ぎすることは出来ません。」

ガチャ!
強めに受話器を置かれることにも慣れてきてしまう。

社長へ伝言すると楽しそうにお姉様方に電話をかけ始める。

「友永ちゃんがさぁ、出かけさせてくれないんだよね〜。俺はまりえちゃんに会いたいんだけどさ。」
「友永ちゃんがうるさくてさぁ、またともちんの店に行くから待っててね〜。」
「友永ちゃんがさぁ、夜までうるさくてさ。マヤちゃんに会いたいのにダメだっていうんだよぉ〜」


ちょっとぉー!
なんで私の名前出して断るのよ!!!
私が悪者になってるじゃない。
もう頭を抱えてしまう。

室長、そろそろギブアップです。
代わってください…
私を胃薬から解放してください…
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