もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜
放課後、吹奏楽部の楽器の音や雑談する生徒達の声が、廊下を通して校舎中に反響している。
「よい、しょ」
そんな中、私は委員会の仕事で、背伸びをして掲示板にポスターを貼っていた。先生から指定された場所が結構高い位置で、私の身長が150センチもないことから、何度貼り直しても曲ってしまう。
これはどこかから椅子でも持ってこないとダメかな。そう思った時、後ろから腕が伸びてきて、ポスターを押さえる。
振り返ると、そこには────。
「花宮先輩」
「奈湖、無理そうだったら椅子を使うんだよ」
「えへへ……そうですよね」
「ほら、そんなんだといつになっても終わらないよ。手伝う」
「へ、先輩は終わったんですか?」
「勿論」
先輩は、私の手から画鋲を取ると簡単に掲示を終え、柔らかく微笑む。