もらってください、花宮先輩。〜君の初めてが全部欲しい〜



 ────昼休み、いつもは食後、友人二人に付き合い向かうトイレも、もう自分を取り繕う気がなくなった私は普通に断った。すると、友人二人は驚くでも怒るでもなく、普通に頷いた。


 そこで私は気付いた。この友人二人は、中学時代に私を傷付けた友人とは違うのだと。


 今時の、いかにも派手な見た目の二人は、恋愛にオシャレも大好き。そんな二人に合わせるように私は愛想笑いを浮かべていたけど、それをしなくなったところで二人は、ハブいてやろうとか、そういう気持ちにはならないらしい。



「(楽だ……)」



 よく考えたら、私が自分の意見を言わないし同意しかしないから、二人は良かれと思ってあの変な男を紹介してくれたんだ。悪い子達ではない。


 息を殺すように、取り繕うように、周りと同じようにと被っていた仮面を脱いだら、とても呼吸がしやすい。視界も気分もスッキリだ。





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