キミに幸せの花束を
「類」


「えっ…?」


「如月さんじゃなくて類って呼べ」


え…瑞希以外の男の人を呼び捨てで呼んだことないのにな。


でもすごい期待の眼差しで見られてる…


「る、類っ…」


恥ずかしくて顔がじわじわ熱くなっていく。


今度は私がフイッと顔を背けた。


はぁ…と小さくため息が聞こえると、顎を掴まれて強制的に目を合わせられた。


「可愛すぎて困るんだけど」


「可愛くないです!…そんなことよりも離してください!!」


「屋上来るなら離してやってもいいけど?」


屋上って神竜の溜まり場だよね?!


「絶対に行かない…!」


「じゃあ離してやんねぇ」


何でこんな恥ずかしいこと平気でできちゃうのかな、この人…


もう少しでお互いの唇が触れてしまいそうな距離に余計に顔が熱くなる。


「わ、分かったから!行くから離してください!!」


「マジ?やった」


いつもよりも嬉しそうに笑う類はなんだかあどけなくて、また胸がきゅうってなった。


さっきから私どうしたんだろう…?


類を見ていると胸が苦しくなる。


「行くぞ」


「は、はいっ」


空き教室を出ると今はちょうどお昼休みになった時間で生徒が廊下にたくさん出ていた。


し、視線が刺さる…!!


廊下にいる全ての女の子たちに睨まれてる気がする。


私あんまり教室に行かないから存在を知られてない気もするし…


誰アイツ?!とか言われてそうだよ?


「あんな可愛い子いたっけ?」


「あたし知ってる!A組の高嶺の花って言われてる子でしょ?」


「あの子には勝てないわ…」


……なんて会話されてるなんて恋莉は知る由もなかった。




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