エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。

 あの強引なキスのことだろうか? あんなもん、どうとでもなるわよ。

 それとも、院長がおじさんだってこと? あれだって、別にバレたからってどうってことない。

 むしろ、ビッチなんて言われることもなくなるだろうし。

 この前の夜のことだって、バレたら困るのは、たった今、窪塚が言ってきた通り、お互いさまだ。

 だったら特に問題なんてない。

 それを、さも問題があるようなこと言ってきて、私のことを丸め込もうったって、そうは問屋が卸さないんだから。

 ーーこんなヤツのいいなりなんて、なってたまるかッ! フンッ!

とばかりに、窪塚の言葉を跳ね返そうとするも。

「バラしたければバラしなさいよッ! 痛くもなんともないからッ!」

「そんなにカッカしないで、まぁ、聞けよ。俺は、お前に失恋のことはもちろん、それが元でお前とセックスしたこと。それから、父親のことも知られてるし。

お前は俺に、さっきのキスの件も含めて、院長や家族のこと。それからこの前の、好きでもねー俺に抱かれて、乱れに乱れまくってた痴態を見られてるうえに、その画像をスマホに保存までされてんだから、お前に断る権限なんてねーんだよ」
「ーーッ!?」

 これでもかというように、思いの外ゲスくて衝撃的な事実を窪塚から容赦なく浴びせられたものだから、ショックのあまり、茫然自失状態に陥ってしまった私は、とてもじゃないが二の句なんて告げられない。

 そんな私に向けて窪塚は、先程とは打って変わって、ふっと柔らかな微笑を携えると、宥めすかすようにして声をかけてきた。
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