エリート外科医の不埒な純愛ラプソディ。
「そんなに怖がるなよ。ちょっと強引だったかもしんねーけど、嫌がる女を無理矢理襲ったりする趣味なんてないから安心しろ」
その声に閉ざしていた瞼をゆっくりと上げて見ると、声音同様の優しい表情を湛えた窪塚の端正な顔が待っていて、ホッとすると共に怖さに萎縮してしまってた身体の力までもが不思議とスッと抜けていくような心地がする。
けれども、こんな状況だ。『安心しろ』なんて言われても、心から安心なんてできるわけがない。
「そ、そんなこと言って油断させておいて、結局はいいように弄ぼうって魂胆なんでしょッ! 分かってんだからッ! このクズ男ッ!」
負け犬の遠吠えの如く威勢のいいことをほざいたところで、どうにもならないと分かっていながらも、これくらいのことしかできないのだから、本当に女ってのは無力な生き物だ。
ーー今度生まれてくるなら、絶対に男がいい。
なんて、胸の内でこっそりと、叶うかどうかも分からないことを独り言ちていると、即座に窪塚の声が割り込んできた。