堂くん、言わないで。


『なんでゴジラ?かわいいけど』

『や、これしか残ってなくて……』


ゴジラのお面をつけて集合場所に現れたわたしに棗くんはびっくりしていた。


だけどさすがは学校一の人気者。

すぐに順応してくれて、それどころか理由を説明すると快諾してくれた。



『いーよ』

『ほんとう?ありがとう!』

『そのかわり手はつながせてね』

『うん!……うん?』



それで半ば強制的に手をつながれたまま、わたしたちは会場を回った。


棗くんは盛り上げ上手で、正直すごく楽しくて。

たぶん浮かれていたんだと思う。


花火を見るとき、わたしはお面を外して魅入ってしまっていた。


たぶんそのときを見られてしまったか、

それともどこか別の経路からわたし、安藤みくるが候補に浮上したのかもしれない。





どちらにせよわたしはいま、猛烈にハブられていた。


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