堂くん、言わないで。
「だからさぁ、…怖かったの……はっきり言われたらもう、今まで通りには戻れないでしょ……?」
嫌いだって言われたら、一緒にいられなくなる。
だからわたしはいやだった。
その言葉の続きを、聞きたくなかったんだ。
「ねえ……堂くん。わたし、堂くんといたら落ち着くんだよ……安心するの」
ほおに寄せられた、ひやりと冷たい手。
その冷たさが気持ちよくて目をとじる。
「……キスしたのに?」
「うん、されたねぇ」
重たい身体にすうっと染みこんでいくような体温。
わたしがいま、冷たさを求めているように。
堂くんもきっと、わたしの体温を求めてここに来た。
「あれ、びっくりしたよ……2回も、キスしちゃうんだもん……びっくりだよ、ほんとに」
人生でいちばんびっくりしたかもしれない。
だって初めてだったんだよ、1回目も、2回目も。
まさか堂くんとしちゃうなんて、思わなかった。