堂くん、言わないで。


なのに、




「どこが?いーじゃん、朝焼けみてぇ」



堂くんはそう言った。



かつて、ルナちゃんがわたしの髪を好きだと言ってくれたように。


思えば堂くんも、いい色だって褒めてくれたな……って。



なんだか泣きそうになった。


悲しいわけじゃないのに。

あたたかくなんかないのに。


手から伝わる堂くんの温度が身体をのぼって。


胸にじんわりとあたたかさを届けてくれる。




「わたし、堂くんの瞳は夜明けだと思ってる」


もしくはアイオライトという、見る角度や光彩によって紫がかった青色や、淡い青、灰色がかった黄色にも見える不思議な宝石……みたい。


それは心のなかだけに留めておいた。




「は?夜明け?それ言ってて恥ずかしくねーの」

「朝焼けだってじゅうぶん恥ずかしいよ!?」



朝焼けと、夜明け。

ぜんぜん違うふたつの色が、どこか似ているように思えて。


そっと一粒の涙を落としてから笑う。



やっぱり、傍にいられるだけでわたしは幸せだ。



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