堂くん、言わないで。
「失礼しました」
職員室を出た瞬間、それまでの笑顔がひゅっと消える。
わたしの腕に乗っかかっているのはクラス分のノートに問題集。
ざっと40冊、40冊で合計80冊。
これ、めちゃくちゃ重いんですけど……!?
落とさないよう手元に集中するのに必死。
表情をつくっている余裕なんてなかった。
「やっぱり誰かに頼めばよかったかな……、いや」
考えを打ち消すようにぶんぶん頭をふる。
いまこうしてひとりでも持ててるんだから。
だから大丈夫……なはず。
こういうのは気合いだ。
病は気からって言うように、やる気も気からなんだ。
もういちど気合いを入れ直したわたしは、ひとりで運びきることを決心した。
まるでそんなわたしを応援するかのように、窓から差しこむ光が追いかけてくる。
ほどよくあたたかい太陽の光が、心地よく身体に染みわたった。