堂くん、言わないで。
たしかにその通りだと納得してしまう。
……わたしの気持ち。
他の人じゃなくて、わたしの気持ちを棗くんは知りたがってる。
「なつめくん」
『うん』
「……行きたい。夏祭り」
『うん。一緒に行こ』
穏やかでやさしい声色に、わたしはほっと安心する。
気が抜けたように肩の力をぬいて、ありがとう、と言おうとしたときだった。
堂くんがわたしのスマホを奪って、通話終了のボタンを押した。
いきなりのことにぽかんとして、すぐにぎょっとする。
「なんで!?」
「3分経ったから」
「いやだから、なん」
「お前のエネルギーは3分しかもたねーだろ」
「わたしはウルトラマンかな!?」
ぐっと押しつけるように返されたスマホをあわてて確認する。
画面はすでに真っ暗だった。
……なんでこんなことするかな。
その身勝手な行動にさすがにむっとして。
「勝手にすればって言ったのに……」
わたしはぼやくように呟いた。