愛され、囲われ、堕ちていく
「今日のことも勝手にしろってことは、納得はしてないんだろうし……」
「うん、まぁ…」
「本当は、逃げたいんじゃないの?」
「そんなこと……」
「………なんて…ごめんね…
凪沙、もし逃げたいって言われたとしても私の力じゃ…どうしてあげることもできない……
凪沙……
伊織は最低・最悪の弟だけど、凪沙を想う気持ちだけはとっても綺麗で純粋だから……それだけは信じて!」

「紅音?」
凪沙と多重が紅音を見つめた。

「だってたぶん、もうそろそろ━━━━━━」
「え……?」

ドッシャァァァーーーーン!!!!

「キャァァァァーーー!!」
「な、なんだ!!!!」
一台の高級車が、同窓会会場の窓を突き破って入ってきた。

この車………
バン━━━━!!!
「凪!!」
「え━━━?伊織…!?」
運転席から、伊織が出てきた。
まっすぐ凪沙の元へ行き、指を絡ませた。
「帰ろ?」
「え?伊織、でもこんな……」
「もう一回だけ、言うよ。
帰ろ!」
鋭い伊織の声と表情。

「うん…」
「あ、あと紅音」
「んー?」
「覚悟しとけよ…!」
「わかってるわよ」

「ちょっと君!!!」
「あ?」
この騒ぎに、警備員が駆けつけてくる。
「ちょっと、こっちに……」
伊織の肘を掴む、警備員。

「俺に触るな……」
「は?こんなことしておいて、何を…!?」
「もう一回だけ、言う……
俺に触るな…!」
「何を言ってる!?とにかくこっちに━━━━━」
その瞬間、警備員が掴んでいた手を振り払ってその手で警備員の首を掴んだ。
そしてそのまま、車のボディに押しつけた。
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