【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 ふんわりと袖が膨らんだデイドレスを身につけ、造花で飾ったドレスハットをかぶり、難しい顔をして水影を覗きこんでいる。

「かがみよ、かがみよ、かがみさん。わたくしの『好き』と言った回数を教えてくださいませ」

 熱心に唱えても数字は見えなかったらしい。
 キャロルは、困った風に頬杖をついた。

「お水もダメでしたわ。お城の鏡という鏡は当たりましたし、どうすればいいのでしょう」
「お疲れ様、キャロル」
「レオン様!」

 キャロルは、レオンの姿を認めると、すっくと立ち上がって両手を前で揃えた。
 ぐったりしていても礼節に正しい、貴族の令嬢らしい令嬢だ。

「お庭にいらっしゃるのに気づきませんでした。失礼をお許しくださいませ」
「構わないよ。自分の数字は見えなかったみたいだね」
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