【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
「アンタ、自分がどういう状況か分かってんだろうね。もっと人質らしく、ビクビクして縮こまっていな。いちいち感動して歓声をあげられたら迷惑なんだよ」
「だって、心から感動したのですもの。体より四倍も大きな荷物をかつぎあげて船に放りこむなんて、すごいですわ」

 キャロルは、両手を組み合わせて、キラキラと瞳を輝かせた。

「ここまで屈強な人間を、王都では見たことがありません。貨物船にたずさわる皆さんは、エイルティーク王国でも一、二を争うくらいに、たくましい殿方です!」

 褒めるキャロルの声を聞きつけて、労働者が沸き立った。

「えらく褒めてくれるじゃねえか。姉さんとイリリア国で商売でもするのかい?」
「いいえ。わたくしはイリリア国にはいきませんわ。船のとちゅうでボチャンとされる予定ですもの」
「ボチャン?」

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