【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!

 成人した息子がいるとは思えない、美しく若々しい容姿は今日も輝いている。だが、レオンの足を止めさせたのは、テーブルに飾られた薔薇のブーケの方だ。
 大輪の白薔薇が十本。しかも枯れかけている。

「母上、その薔薇はもしかして……」
「キャロルちゃんのよ。十二夜が中止になって押収されたのを譲ってもらったの」

 なぜ、とは聞けなかった。彼女もまた、十二夜の中止を悲しんでいる一人なのだ。

 王妃に勧められて椅子に腰かけたレオンは、サーブされた紅茶に口をつけた。
 柔らかな口当たりで、果物の濃厚な甘さと豊かな香りがおいしい。

「フルーツティーですね。珍しい」
「疲れたときには甘いものが一番よ。あなたには私のせいで苦労をかけてしまったもの。占い師ニナが悪人だと知らずに、城に引き入れてしまったわ」

< 339 / 367 >

この作品をシェア

pagetop