【コミカライズ】結婚前日に「好き」と言った回数が見えるようになったので、王太子妃にはなりません!
 レオンとキャロルは、テーブルを挟んで向き合っていた。公務で忙しい王太子が、休憩時間にお茶とケーキを連れて部屋にやってきたのである。

 二人でお茶をいただく習慣は、十二夜が始まる前からあった。何気ない会話を弾ませることは、お互いがどんな人物か知っていくための重要なファクターだった。
 だがキャロルは、レオンから『本当に好きな人』の話を聞かされた事は無かった。仲良くなれたと思っていたのは、キャロルの方だけだったようだ。

 小さなプディングケーキを味わうレオンは、秘密の恋人がいるとキャロルに知られてからも、何ら変わりなく二人きりの時間を楽しんでいる。

「セバスティアンから聞いたんだけどね。シザーリオ公爵家は、キャロルが来ても指一本たりとも敷地に入れない厳戒態勢を敷いているそうだよ。ちなみに町の方は俺の配下である騎士が巡回していて、万が一キャロルが歩いていたらすぐに捕まえるように命じてあるから、脱走はあきらめてね?」
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