円城寺家のイケメン探偵 ~脅迫状に込められた思い~
初音ちゃん、やっぱり湊音さん以外は…興味がないんだろうな…


『昨日、佐々木先生はみんなに人気があるって…特に女子には…って、赤田さん言ってたよね』


『そうだね…』


凛音は黙った。


眼鏡の奥の瞳…一点を見つめて動かない。


本当に…綺麗な顔してる。


その姿は優美な「彫刻」みたいで…


考え込む凛音に触ると、繊細なガラスみたいに壊れてしまいそうだ。


『凛音兄さん』


柊音君が、すぐ近くで凛音を呼ぶ。


でも…全く反応しない。


『入ってしまってるね。凛音兄さんは考え込むといつもこうなるから』


『紬様、亜矢奈様。そろそろお帰りになりませんと。お送り致します』


執事の早瀬さんが言ってくれた。


夜遅くなると、車でわざわざ送ってくれるんだ。


亜矢奈さんはともかく、早瀬さんは私まで「お嬢様」扱いしてくれて…


ちょっと申し訳ない気がする。


だけど、その紳士的な振る舞いにずっと感謝してる。


とにかく、私達は今夜はここで推理を中断して…解散した。
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