離れていた時間


 勝手な事をしたら怒られてしまう。


 確認を取るため、私は顔を横に向ける。


 背を向けたままの母は、若い頃に撮った自分の写真に夢中だ。

 私が横目で睨みながら、軽く咳払いをしても母は無反応。

 古びて破れかかったダンボール箱のままでは、移動の時に底が抜けて大惨事になってしまう。


 私の勝手な判断で、プラスチックケースへ入れ替える事に。


 ダンボール箱の(ふた)を開けると、少しカビ臭くて不快に思ってしまう。

 中にアルバムが一冊だけ、仕舞い込まれてからどれだけの月日がたってるのか想像できない。

 たぶん、一度も日の目を見ないまま、今日まで箱の中に収納されていたのだろう。


 母を横目に、こっそりアルバムを見てしまう。


 そこには、若い頃の父と見知らぬ女性の写真があった。




 嫌な予感がする……





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