今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
でもすぐには思い出せなかった。


「俺は初めて来たけどね」


「え?一緒に来たわけじゃないの?」


「うん」


「じゃあどうして?」


「うーん、まあいいから。そのうちわかるよ」


そんな風にはぐらかされて教えてもらえない。


なんだか謎かけみたいで気になってしまうよ。


「なあに?教えて」


「どうしようかな」


「意地悪しないで」


頬を膨らませて抗議したら、クスッて笑われた。


「なんて顔してるんだよ」


彼の指先がおでこから頬をそっと撫でるからくすぐったい。


「だってー」


「可愛い顔」


「えっ?」


「でもまだ教えない」


眩しそうに瞳を細める彼にドキドキしながら、見入ってしまう。


「あっ……」


その時、何でもないところでつんのめってころびそうになった。


「おっと、あぶな」


すかさず彼が肩に手を置いて支えてくれたから何とか助かった。
< 276 / 443 >

この作品をシェア

pagetop