今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
そのどれもが高級品で翔くんに似合うものばかり。


やっぱり彼は生まれながらの御曹司ってことかな。


確かに彼はなんでも持っている。


だけど、それはそれ。


私だって何かプレゼントをしたい。


「いつも私にばかり買ってくれるからたまには私に買わせて」


私がそう言ったら彼は心底嬉しそうにニコッと笑う。


「気持ちだけで充分だよ、ありがとう」


「でも……デート代も全部翔くんが出してくれてるし」


「いいんだ、初デートは男の方がだすものだし」


「じゃあ、次は絶対に私が払うね」


それには答えないで彼は帽子屋さんの前で立ち止まった。


ショーウインドウの中を真剣に見ている。


「あの帽子を買っておこうか。合宿の時に海に行くだろ。
チーが日焼けしたら大変だから」


「いいってばー」


「でも似合うよ、きっと」
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