今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。
久しぶりに会った彼は怒っているみたいな冷たい表情だったから。


でも、どうしてだかさっぱりわからない。


「何してるって、何もしてないけど。今から旅館へ戻るとこで」


「彼と二人で？」


「あ、うん」


どうして兄が不機嫌なのかわからないまま、西原くんの方をチラッと見た。


彼もなぜだか憮然としている。


「お兄ちゃん、今日来たの？今まで何してたの？」


ぎこちなく笑いかけたら、彼はかすかに表情を緩めてくれた。


「遅くなってごめん」


「ううん」


「約束しただろ、合宿５日目には一緒に海で遊ぼうって」


「あ、そか。うん」


でも本当に来てくれるとは思っていなかった。半分諦めていたから。


だから余計に嬉しかった。


でも、なんだかこのシチュエーションは気まずい。


愛華さんもさっきから黙ってこっちを見ているだけで会話に入ってこない。
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