今日もお兄ちゃんの一途な恋に溺れる。

西原くん



「瀬戸さん、さっきの話ってほんと?」


次の休み時間に前の席の西原くんが振り返って尋ねてきた。


「さっきの話って?」


「瀬戸さんのお兄さんに認めてもらえたら、付き合えるって話」


「えっ、あ、えっと」


歌ちゃんとのさっきの会話、聞かれていたんだ。


なんだかすっごく恥ずかしい。


「俺、立候補しよっかな」


「は?」


ウィンクしながら軽い調子で言われたのでギョッとした。


「あ、そっか、冗談だよね?本気じゃないでしょ?」


「そうでもないけど」


ええっ、どっちなんだろ。


「その手には乗らないよ」


私がとっさに冗談だと思ったのは、普段の彼を知っているから。


クラスメイトの西原颯太(にしはらそうた)くん。彼とはつい最近の席替えで前後の席になってから初めて話すようになった。


彼はクラス一のイケメンでかなりモテてるみたいだし本人も女の子が大好きみたい。
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